思いあぐねる

世の中はこうしていつもせわしなく動いていて、
当たり前の毎日の日常を過ごしている。

そんな私も例にもれず、
仕事をしているときはバタバタと時間が過ぎていき、
軽い達成感と、多少の疲労で「今日も頑張ったぜい」と
明るい笑顔で職場を後にする。

でも、ふと先日亡くなったもうひとつの職場の所長を思い出す。
途端に笑顔が消える。

ああ、所長はもう時が動かないんだ。
あの日から彼は止まったままで、
近親者も時を止めているんだ。
いつもの日常ではなく、時計が止まったまま。

それは「思い出」という過去しか語ることができなくて
一緒に時を刻むことがもう出来ないでいる。
未来や明日を語ることができなくなってしまった。
「思い出」とよぶにはまだ早すぎる。

ご両親の都合で所長の遺体は実家の宮城で葬儀をするらしい。
お線香の一本もあげれぬまま、
サヨナラしてしまうことが心残りだ。

面と向かって所長に手を合わすことが出来ない今、
所長のことを思いながら私なりに手を合わせよう。
供養していこうと思う。

会社経由の人伝で聞いた所長の死。
いまだ信じがたいのだが、
週末の仕事依頼のメールが来ないとこをみると
本当なんだろうな。

いつものような毎日が過ぎていく。
でも所長はもうこの世にいない…。

悲しみがぼやけてる。
ちゃんとお別れしてないから悲しいのに悲しめない。