ぐるりのこと。 感想

キャッチコピー

「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。」

木村多江…翔子

リリー・フランキー…カナオ

倍賞美津子…翔子の母

・夫婦役の二人が自然すぎる

評価が二分化されてるんだね、この映画。

退屈だとか、下品だとか。

私は全然飽きなかったし、むしろよその夫婦の日常を

リアルに垣間見てしまったような感覚だったよ。

そのワンシーンとして最初のほうの夫婦の会話。

一週間のうちの○曜日はLOVE💛の日と

キッチリとルール化する翔子。

たいしてカナオはおおざっぱにいうと、ムードが大切だろ、と。

「決めたことはヤッてから話そうか。今日はする日でしょ」

「え~この感じからはちょっと立たないと思うな」

「だって決めたでしょ。だからするよ」

「じゃあ、口紅してよ」

「はぁ~?」

「家に帰ってきてさ、バナナ食いながら怒ってる女見てさ、

 どんな絶倫でも立たないよ」

いやぁ、この掛け合いがたまらなく可笑しいわ。

女は常に現実的で、男はロマンを求める

っていうことをどっかから聞いたことあるけど

まさにその通り!!

でもな

この夫婦の会話を聴いてると

私もカナオの味方につきたくなるな。

そういうもんじゃないでしょ、💛の日って。

さて、風呂にでも入るか。

というのとおんなじような感覚で言ってるとしか思えんww

対して、他のシーンの2人にブルッとウルッと。

雷雨の中、仕事から帰ってきたカナオ。

翔子はというと、窓全開で雨に打たれながら、ベランダに座り込んでて。

子供が亡くなっちゃったことで、うつ状態が続いてる。

張り手ビンタしあう興奮状態がおさまり、

泣きじゃくる翔子に寄り添うカナオ。

もう木村多江さんがスッピンで

目から鼻からお汁をいっぱーい流すの。

それをカナオが優しく優しくなだめるの。

ここのくだりが本当に自然で

とても演技してるようには見えない演技で。

うう、私がこんな状態の時

彼様はカナオと同じような行動をとってくれるんだろうか、

なんて思いながら見てしまった。

それと同時に

リリーフランキーよ。

あなたはなんて色んな面を持っている人なんだ!

冷たい悪役から、情けない役まですべてこなしてる。

カメレオン俳優だよな、って感心もしちゃった。

・法廷シーンは必要あったの?

役柄、法廷時のスケッチをする仕事をしているカナオ。

1990年代の約10年間を舞台にしてる話なんで

でかい事件の裁判シーンを入れてるこの映画。

名前こそ違えど、

埼玉の幼女連続殺人事件や、大阪の小学児童殺傷事件、

はたまた地下鉄サリンの被告たちの裁判シーンが出てくる。

私は夫婦での下ネタ話や、俗にいう下品な場面の時よりも

こっちの裁判でのやりとりのほうが

よっぽど顔をしかめながら見ていたわ。

無理にこのスケッチ職人さんの業種にしなくても

良かったんじゃないの?と少々疑問が。

絵に関する仕事だったら他にもあるだろうに。

それよりも

この数々のでかい事件の裁判シーンって…

これだけでも立派にひとつの映画になりそうな。

スケッチ職人さんの

「俺が描いた10年間の犯罪者たち」

とかでさ。

・夫婦は親友であり、心友

キャッチコピーだけでも頷けるんだよね。

夫婦っていっても同じ考えではないし。

時には「一人になりたい」って思ったり

「ちょっと!しゃべりかけないでほしい」ってときもあるんだ。

毎日、機嫌がいいってわけでもないから

2人の温度に差がある日は、本当にめんどくせえ!!!って思う日もある。

ケンカしたら口もききたくないし、顔すら見たくない。

ちなみに我が家はカナオと翔子の夫婦のようなケンカでなく、

数日間しゃべらない、冷戦状態が続きます。

それでも芯の部分では「好き」だから?

うん、たぶん好きだから 笑

一緒にいるんだよ。

ドラえもんジャイアンがたまに嬉しいとき

スネ夫だか、ドラえもん

「心の友よ~」って叫んでるときがあったような気がするんだ。

いざという時、一番の理解者であって

支えてくれる相手。

それは男女や夫婦でなくてもいいと思う。

自分が愛おしいって思える対象がいるってことは

それだけで幸せだよね。