幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない 感想

・杭のとこに1匹ずつ結わいて首斬って、俺は国会議事堂に行って腹掻き切って、その腸を投げつけてやるぞ

ドキュメンタリーなんだ。

不法投棄された廃棄物の中で

犬と一緒に暮らしている本多さんのドキュメンタリー。

犬たちが始終鳴いている。

本多さんはやんや語る。

インタビュアーは相槌打ちながら笑ってる。

それがずっと続いてる。

犬の鳴き声が響いて、本多さんも声大きくて、

話聞いてるインタビュアーは明るすぎる。

それを私はしかめっ面で見ていた。

編集してないんだよね。

本多さんの話し方がそのまんま字幕に映される。

「ほら、アレだ」

「アアァ、~~~っつって」

とか、

見出しの言葉も3回同じこと言ってるからね、本多さん。

さすがに3回目の時は笑ってしまったぜ。

まだ言うのか、って。

4匹のめっさ吠える犬たちの名前を

まとめて「なかよし」と名付けたことはセンスいい!って思った。

4匹全員、なかよしという名前。

思うことはいろいろある。

あの暮らしが犬にとっていいか悪いか。

でも本多さんが勝手に引き取ってきたわけではない。

捨てるやつがいるから

本多さんはその犬たちを世話してるのだ。

ドキュメンタリーってある意味怖いよね。

ノンフィクションだもの。

事実を脚色することなくそのまんま映してる。

もう本多さんはこの世にいない。

インタビューして

2か月後に再度訪問したら

本多さんも犬たちもいなかった。

え?

そんな急に?

本当に死んじゃったの?

都合よすぎじゃない?

あれだけ生まれてこの方70年間、

風邪もひかないっていう本多さんだったのに

そんな唐突に?

出来すぎでしょう、と思いはしたけど

それもまた事実らしいので。

なんだかあそこの場所が

静かすぎるくらい静かになってたんで

気味悪かった。

本多さんという一人の人間を

本多さん自身が犬とちょっとばかしの人生を語ってくれて

一時間に凝縮させたこのドキュメンタリー。

動物好きならわかる。

彼らは裏切らないですよね。

わざとイタズラするときはあっても

騙すとか裏切るってことは最後までしない。

犬たちはある動物保護団体が引き取ったらしいですが

どうなったんでしょうか。

なかよしたちもロッキーや秋田犬なんかもいるんでしょうか。

本多さんもまさか

犬より先に自分が逝くなんて思ってもなかったでしょうから

犬たちが元気に暮らしてるのか気になるでしょうね。

本多さんの夢は叶えられませんでした。

ですが、それまで続けてきた犬たちと一緒に暮らすこと。

暮らしてきたからこそ夢が芽生えたんだろうし。

持続は力なり。

ふとこの言葉が頭によぎりました。

幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない