三度目の殺人

 

 

監督 是枝裕和

キャスト

福山雅治…重盛

役所広司…三隅

広瀬すず…咲江

 

 

 

 

 

見終わった後、少しの間かたまった。

家族をテーマにした作品が多い監督の

サスペンス色が強いこの映画。

 

伝えたいことは今回はあったかさじゃなかった。

 

印象に残っている言葉が

「人の命は選別されてる」。

 

最初の弁護士重盛の

真実云々とかじゃなく、いかに勝利するか

的な思考も衝撃。

でも実際この手のタイプ多いんだろうな、というのもわかる。

そこも少々ショック受けながらの鑑賞。

 

まあ重盛は途中から変化していくんですが。

 

三隅が途中から無実だ、やってない!の声を上げた後の

弁護士、検察、裁判官の集まりでの会話。

「納期も決まってるし、今回はこれでいきましょか。」

え?

あれは…あんなふうに利害で事を決めちゃうわけ?

裁判やり直しっていうのが色々と難ありになるから

やり直しせず、そこで人の命って決めちゃうわけ?

 

これが現在の司法制度っていうのなら

かなーりショッキングな内容なんですが。

 

咲江の言葉。

「誰が裁くのか」

HEROの久利生検事もビックリでしょ。

 

裁判官の国民審査ってあるやん。

選挙で落とす裁判官記入するやつ。

あれ思い出したわ。

そもそも裁判官なんて知らない人たちばっかだし

まず裁判沙汰になったことってないし

なんでこんなの選挙せにゃいけんの?

と思ってたけど

もしかすると中にはこの映画のような裁判官が

いたりするのかな。

 

勝つためには

減刑して死刑を免れるのには

真実なんて二の次。

法廷戦術に忠実に従って

余計なことを言うな、作戦。

 

じゃあ法って何?

と考えさせられた。

 

あとね、余談です。

「人の命は選別されてる」。

今回のコロナ重度感染者の人たち。

重症者が多かった時のこと。

特にコロナだけに限ったことじゃないけど

老い先短くと若い命のこの優遇さ。

わかるよ、わかる。

が、選別ってこういうのも含まれるのかなってことも思った。

 

元に戻す。

すずちゃんがあまり感情を出さず、

だからって暗くて重い感じも出さずの演技。

うまいです。

 

役所さんは安定のうまさでしたが

最後の方ではおじいちゃんっぽく見えてしまいました。

私、好きなんですよ。

役所さんのファンでもありますが

三隅が憑依したのかいい加減に疲れ果てた姿に見えた。

 

これが映画だけの世界であることを

願ってます。

政治も警察も検察も真っ黒な世の中。

裁判も利害が絡むのなら、もう日本は闇だらけだよ。

 

 

 

 

 

 

三度目の殺人