夢売るふたり

 

 

監督 西川美和

キャスト

松たか子…里子

阿部サダヲ…貫也

田中麗奈…咲月

 

 

女性監督ならではの

細かい描写がリアルだったわ。

これは男性監督には絶対に出しきれない。

そこを画として掘っちゃったらまずいでしょ!

というとこまで出し惜しみせず描いてくれた。

 

あとはやっぱり女性監督ならでは。

男は想像力が豊かで、グローバル…とまではいわないけど

丸く考える。多角的に。

女は現実的で、シャープに物事を進める。

 

た・だ・し

こいつらアホな二人だ。

発想はいいが、詰めが甘かった。

店を出す、という夢を持ち

その夢(金)のために詐欺を働く行為で

心がどこまで割り切ってついていけるのか

計算をしていなかった。

 

結果論から書いちゃいました。

 

最初の店が火事で燃えちゃうとこから始まるなんて

見てる側の目を引き付けてくれてアリガトウです。

この題材、西川監督だからこの流れになるんであって、

他の人が監督したらきっとコメディ路線でまとめるんだろうな。

 

女ってなんやかやタフなのよ。

里子もそのように苦境に立たされて

やる気と馬力が出るタイプらしい。

貫也は這い上がることなく、パチと酒に逃げてるでしょ。

 

酔った勢いで砂羽さんとやっちゃって

砂羽さんがくれた大金で2人に転機が訪れるわけだけど

里子はいろんなリスクを考えなかったのかな。

夫の性格を考えてこれはイケる!と思ったのか。

私から見たら気のいい夫でも

そこはやってほしくない問題が生じるんです。

 

人それぞれだからキッチリした答えはないんだろね。

働かない・DV・女癖が悪い

さて、あなたが一番許せないのはどれでしょう?

と問われて、人によって1位は違うものだから。

 

私は夫の気持ちが傾く、というリスクは作りたくない。

優しい人ならばなおさらのこと。

うちの彼様がそういうタイプだからこそ思う。

人情に厚い人こそ、情が深く揺れやすいし。

それを結婚詐欺で金儲ける「仕事」として

割り切って見ていたくない。

 

案の定貫也はウエイトリフティングのひとみちゃんの

素直さにやましさ感じてきてるし、

会う女性たちに無邪気さをストレートに出してる。

名前も経歴もさらけ出して。

オマエ、悪いことしてるのにアホか!って思う。

 

すれ違いが始まってきたころから

もう夫婦じゃなくなってきてるよね。

見てる方向が違ってきてた。

それを見てる私は、この夫婦が悲しくてしかたなかった。

悪いことするなら心揺れることなく、ずっと悪でいろと。

 

鶴瓶師匠が探偵役で出てた。

すっげえ悪そうな人っぽかった(笑)

 

「自分の足で道を作らないと

人生は卑怯なことになる」

どっかのセリフで誰かが言ってた。(忘れてしまった)

人の褌で相撲をとることはいけない、ってやつだね。

おかげで足元すくわれてるし。

 

スカイツリーが見えるとこに店まで構えて

あと一歩のところでこんなサマ。

バカだねー。

当たり前の結果だけど。

夢を少しずつ売ってったらなくなりましたってな話。

 

と言いながら主役も他の人たちの演技も

子役のマルコメ君も最高に上手かったです。

 

 

 

 

夢売るふたり