オアシス

 

 

 

監督 イ・チャンドン

キャスト

ソル・ギョング…ジョンドゥ

ムン・ソリ…コンジュ

ソン・ビョンホ…ジョンドゥの兄

 

 

韓国はホント、障がい者をよく主人公にする。

冒頭の刑務所から出てきたばかりの主人公が

豆腐を手で持って食べてるときには

また、ちょっとばかし障がい持ってる人の映画か、

と嘆くところだった。

だって、豆腐が食べたくても

まさか四角いまんまの豆腐を手で持ってがっつかないよ。

 

私の嘆きはそんなものではおさまらなかった。

もう一人の主人公は脳性麻痺の女性の役を演じてた。

いくら、障がい者が主役の映画が多い韓国とは言え、

体のすべてを使って表現しなくてはならないこの役を

ムンソリという女優はやってのけてた。

 

誰ができるだろう。

おそらく彼女以上に演じ切れる女優はいないかもしれない。

実際に脳性麻痺になった人が近くにいないため

テレビのドキュメンタリーなどでしか見たことはないが

この映画のコンジュは重度の脳性麻痺

非常に難役であるし、自ら手を挙げてやりたいという女優も

少ないんではないかと。

これにはムンソリが演じて、賞を獲ったのも頷ける作品でした。

 

よくある現実なのか判断しかねますが、

彼や彼女がそうであるのをいいことに

身内が黒いことして、おいしく生きてる。

ジョンドゥの兄は自分が事故を起こしたのに、

ジョンドゥに肩代わりさせた。

コンジュの兄は障がい者がいると優遇される処に住み、

コンジュ一人汚いアパートに住まわせてる。

いざ、なにかあると善人ぶってる発言。

 

いや、もっとすごい発言者は

取り調べ中の警察の一言だ。

本人が近くにいるのにあの発言はないだろう。

ただ、これは映画という一連の流れを見てる自分だから

「酷い発言」と言い切れたことであって、

自分があの警官だったら、

口にこそ出さないけど同じこと思ったりしただろう

と正直言って思う。

 

つくづく自分は偏見者なのかな、と思う所もあった。

初めてジョンドゥがコンジュのアパートに入った時。

どこで性のスイッチが入ったのか。

コンジュの体を触りまくり、性行為をしようとしたとき。

(コンジュが失神し、未遂で終わったが)

ああ、ジョンドゥのような人は

このようにして欲求を解消してんだな。

だから性犯罪がなくならないのだろう、と。

ジョンドゥ→ちょいおかしな人→性犯罪者という連想。

完全に私の偏見でして。ごめんなさい。

 

話が進んでいくうちに

世間がどう思おうと、

うまく話せなかろうと

警察につかまろうとも

互いを必要としてる存在がいるってことは

それだけでも存在意義を見出して生きていける。

ラストのコンジュの姿に

強さと光とオアシスが見えました。

 

 

 

 

オアシス デジタルリマスター版(字幕版)