前科者

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監督 岸善幸

キャスト

有村架純…阿川佳代

森田剛…工藤誠

磯村勇斗…滝本真司

 

 

岸監督は人間ドラマを描くのが上手いね。

これは保護司、阿川さんの奮闘映画だ。

保護司はうちの近くのお寺のご住職が

その昔やっていて、(今はたぶんご高齢なので…)

「保護司」という職は知っていました。

 

人助けやボランティアなんていう言葉では

簡単にできない仕事だと思います。

線引きも大事だろうし、その前に

どこまで相手のことを思い、将来も考え、

更生のお手伝いができるか。

民生委員も似てるけど、また異なるしな。

偏見を持ってはいけないし、リスクもあるだろうし。

この映画の言葉でいうと「人として生き返らせる」。

社会復帰を介助するという使命感がないとできないわ。

 

森田剛は「ひめのあ~る」で殺人犯役を演じて

あまりの演技力におののいてしまったのですが、

こちらもまた苦しい難役を見事演じ切ってました。

もうさ、ジャニーズにいた頃の彼が消えたね。

元アイドルとして見てはいけない。

もともと持ってたんであろう演技の才能が

どんどん開花されていってます。

若い時の面影が微塵もないわ。

 

不幸が不幸を産む、負の連鎖。

怒りのぶつけどころが間違った方向に向けられている。

そして加害者も含めた「犠牲者」が多数でる。

やるせないです。

憎しみをパワーにして生き続けている加害者。

今月上旬に起きた事件も同様です。

 

冒頭で人間ドラマの描き方としては

うまいよね、と褒めたのですが

ストーリーとしての強さはそこまで感じ取れませんでした。

原作を読んでないから

もしかすると阿川さんの保護司になるという

強い信念がどこまで映画として描き切れてたのか

少々心残りなんですが。

(架純ちゃんが保護司になるのを説明口調で話してたけど

どうにも人生の岐路に対してのスポットの当て具合が弱い)

 

計画的でもなく、憎しみでもなく、

私たち自身ももしかすると

被害者や加害者になってしまう場合もあります。

交通事故とかね。

前科がついて傷心するかもしれない。

罪を償い、しっかり反省したうえで、

人生をやり直す機会を与えてくれる保護司の方が

近くにいてくれたら何よりも心強いです。

 

って、あまりにもきれいごとすぎる文章だな。

私のいやらしさが出ちゃったぜ。

この映画見て、よし保護司になろうという人が

一体どれくらいいるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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