フルメタル・ジャケット

フルメタル・ジャケット (字幕版)

 

 

監督 スタンリー・キューブリック

キャスト

マシュー・モディ―ン…ジョーカー

ヴィンセント・ドノフリオ…ほほえみデブ

R・リー・アーメイハートマン軍曹

 

 

昔の良作を見返してみよう月間。

 

こんなにも有名なのに見たことなかった映画。

プラトーン」は見たくせに

ジャケだけで戦争戦争戦争だけのハードな内容だろう

と勝手に解釈し、避けてきた。

もっと早く見ておけばよかったわ。

 

完全に言い訳させていただくと。

キューブリックというだけで、どうせ私とは合わないんだろうと。

「2001年~」や「時計じかけの~」を見ても

なんなんこれ…と良さを見いだせなかったので。

戦争がテーマという苦手なジャンルと

凝り固まった偏見のせいで、見逃してたこの映画。

バカだねー私。

 

ガツンと脳天に刺さりました。

見てから数日経つんですが

まだほほえみデブちゃんの最期の顔が脳裏に焼き付いてる。

彼の変貌ぶりが完璧。

 

衝撃が次から次と襲ってきました。

冒頭の兵士志願の彼らが続々丸刈りにされてく

ずっと見ていたいような散髪シーン。

 

そこからのハートマン軍曹の弾丸ウジムシセリフ。

ずっと「クチ悪…」「口が悪いだけじゃなく下品」

その気持ちをより助長させるような

聴きづてならない言葉。

「パパの精子がママのわれめに残ったカスがオマエだ!」

どっからそんな発想が出てくんの?

 

プライドや人間らしさを全て捨てて

戦前に行かねば戦争には勝てない。

強靭な精神を鍛えぬくための厳しい指導なのだろうが

なぜか下ネタまでバンバン出るのが不思議というか。

 

でもって、このハートマン軍曹役。

経歴や迫力で、当初決まってた人との交代らしい。

が、交代させられた最初の人が

あの輸送ヘリでベトナム農民をガンガン撃ちまくる

狂気に満ちたガンナー役。

彼の言い分に目を見開き、開いた口がとじなかったわ。

 

やっぱりね、戦争は人を狂わせる。

あっという間に、次の瞬間に人の命が散っていく。

悲しみや痛みばかりで、楽しいことなんてひとつもない。

人間の姿の殺戮マシーンを作って、戦闘させ、

その彼らが戦争が終わり人間に戻った時

PTSDに陥るのは当然なのかもしれない。

 

戦地に行く前の養成所で

すでに人格を奪われ、

いざ戦地に行ったら恐れなき行動として撃ちまくり

根底から人格が崩壊する。

 

あくまでもドライに描いたこの作品。

戦争とはこういうものなのか、と

恐怖と不条理さで今も心のざわつきが拭えません。

えらいもんを見てしまったような気がしました。

 

 

 

 

 

フルメタル・ジャケット (字幕版)