あなた、その川を渡らないで

あなた、その川を渡らないで

 

 

監督 チン・モヨン

 

 

韓国の田舎に住む老夫婦のドキュメンタリー。

 

タイトルからしてね、

察しはつくよね。

わかった上での鑑賞でした。

 

このドキュを見てから数日経ってるんですが

ずっと頭にこびりついてます。

76年間、夫婦として連れ添ってきた二人。

韓服を着て、仲良く手をつなぎながら歩く夫婦。

落ち葉のかけっこ、水のかけっこ、雪のかけっこ、

一緒に寝食共にして

支え合ってる夫婦。

とてもとても幸せそうな笑顔です。

 

人間、いつか老いて朽ちる。

わかっていても現実を突きつけられると

悲しくてやりきれない。

「一緒に死ねたらいいね。」

さだまさしの関白宣言の歌詞で言うなら

旅立つ人を見送るのも妻の務めなのかもしれないが

声を上げて泣きじゃくるおばあさんの遠目からの映像が

どこまでも

心の深部に刺さって消えてくれない。

 

2014年のドキュメントなので

当時89歳だったおばあさんは

もしかすると存命してないかもしれない。

あれから、おばあさんはどうなったのか気になるんですが。

 

エンドロール後の最後の最後で流れるテロップが

おばあさんのすべてで

きっとおばあさんは若かりしおじいさんと出会ってから

自分が逝く時まで

いや逝ったその先も変わらぬ想いが続くのだろうな。

 

おじいさんおばあさんの子供たち…。

たぶん50~60代なんでしょうが

なんだか…妙なしらじらさがあって。

おばあさんの誕生日に

くだらないことで大喧嘩してるし。

 

息子がおじいさんに泣きながら反省してるとか

言っちゃってるし。

おじいさん、手で追い払ってたし。

具合悪くてそれどころじゃないんだわよ。

こういう状態、泣いてる暇なんて私なかったわよ。

 

じゃれあってた二人の映像が頭に残ります。

おじいさんを失くされた悲しみより

数十年と笑いながら暮らした普段の幸せな日々の思い出の方が

そのうち鮮明な記憶として残っていったことでしょう。

 

愛する人と手と手を取り合って生きてきた日々。

素敵な二人のお姿。

しあわせでしたね。

 

 

 

 

 

あなた、その川を渡らないで