押入れのちよ

表紙は怖いのに、中身は可愛いんだわ、ちよちゃん。
14才らしいけど私の頭の中では7歳ぐらいのちよちゃんになってる。

短編集でした。
一番の傑作は表題、「押入れのちよ」です。
ああ、こんなにも可愛い幽霊がいるなんて。
でもやっぱり霊じゃ切ないよね。

荻原浩著。
この作者のこの本を読み進めていくとそれぞれに臭いがある物語だな。
いい香りから死臭というか、腐敗したニオイまで様々。
それが頭に伝わってきそうで。褒め言葉だよ。

「老猫」は嫌だった。
猫好きだからよけいに「うちの猫は違うし」という思いになった。
「介護の鬼」の嫁が義父を介護してる前半も嫌だった。
そこまで人が人を虐めるってどういうことよ?と。
この二つは嫌な臭いが漂ってきた。

「殺意のレシピ」の夫婦のブラックな掛け合いは見事。
上手いよ、これ。

短編でここまできっちり、それぞれが映像まで浮かび上がるような描き方は
とても上手いと思います。