しゃぼん玉

 

 

 

監督 東伸児

キャスト

林遣都…伊豆見

市原悦子…スマ

綿引勝彦…シゲ爺

 

 

染み染みきます、この映画。

ラストなんて特に染み染みで、深い安ど感に包まれます。

 

主人公の彼はいわゆる「家なき子」のような子で

生きるためには手っ取り早く

人さまからひったくったり、ナイフちらつかせてお金むしったり、

挙句の果てには傷害。

冒頭の、雨に人影のシルエットっていうのが

ぞわぞわ感出てました。

 

後で考えてみれば

愛情も注がれず、帰る家もあらずで

ずっとずっと心に穴が開きっぱなしの今までだったのかと。

 

そこに登場したのが市原悦子嬢。

本当に演技がうまく、天真爛漫で人を包み込むスマの温かさが

悦子さんに憑依してました。

彼女なくしては伊豆見の凍った心は溶けなかったでしょう。

 

悦子さん、農作業やる格好がこれまた似あう!

 

ピリッとスパイスの存在がシゲ爺の綿引さん。

お偉い重役や社長、「天までとどけ」のお父さん役もしかり、

ここでは勇ましい村の爺さん。

 

っていうか、わき役の人たち、皆さんベテランすぎて

悪いとこありません。

 

宮崎の村の景色も素晴らしい。

山並み、棚田、村の祭り。

どれをとっても風景が見事にきれいです。

 

主人公の林遣都くんはイメージ変わりました。

もっとソフトで、誰かとかぶるような容姿で

何かが足りないのかなという印象があったのですが

映画の最初の方の無精ひげ生やし、

少しワイルドタッチな風貌がいつもの林君ではないぞ、と。

 

もともと彼は品が良い人なのかな。

そこがひねた役をするにあたって、抜けきれないところも見受けた。

それとも心の奥深くでは

スマがいう「ボウはいい子だ。」の純粋で優しい心根を持ってるから

悪に染まりきらない伊豆見をあのように演じたのかな。

難しい役ではあったと思います。

 

縁側にいた犬。

伊豆見は「バカ犬」とほざいていましたが、

吠えることもなく、おとなしい犬だったので

伊豆見よ、それはないだろ!と。

パッケージにも個別ショットで犬が映ってるじゃあないか。

 

 

悦子さん、これが最期の作品でした。

映画では家に明かりがついていて、ホッとし、グっとくるラストでしたが

スマさんが映ることがなかったのね、残念だけど。

大女優さんの素晴らしい演技。

かわいいお婆ちゃん役、素敵でした。

 

お疲れさまでした!

 

 

 

 

 

しゃぼん玉