猫の老衰。
老衰とは言うけど
そのまんま、じーっと動かなくなり死んでいくのではなく
じわじわとスローに悪くなり
粗相もし、食欲もなくなり、低体温になり、
意識混濁になり
最期は魂が体から抜けるために
脱皮するかのような声を上げ、死んでいった。
カイ。
8月3日。
午後11時40分。
永眠。
19歳。
老化のサインはしっかり出していた。
咳が出るようになり、病院行ったら季節性の喘息。
続けてよく頭を振る動作をするので診てもらったら
外耳炎から中耳炎へ。
がぜん、よく食べていた。
が、太らず。
そのうち猫トイレの奥まで入らず
足踏み台のとこでオシッコをするように。
「面倒くさいのかねえ」
「ハルが横着して、オシッコしてたのかと思ったよ」
ある日、いつも朝食で食べてるヨーグルトを食べなくなった。
同時にカリカリも。
ウエットも食べる量が減ってきた。
7月下旬。
水をよく飲みに行くのだが、少しふらつく。
動きも鈍い。
7月28日。
お風呂場に行きだした。
風呂場でじっとしてる。
箱座りから、横向きになったり。
身体を風呂場の床にピッタリつけて。
でも、かろうじてウエットのポタージュを食べたり
スープはチロチロと飲んだりしてる。
水を風呂場に置いといて、それも飲んでいる。
いつ何があってもおかしくない。
仕事を休んだ。
何日かこの状態が続き、
カイは風呂場と猫ベッドをふらつきながら往復。
苦しそうだ。
横になっているのに
目は開いている。
意識がもうろうとしている時間がある。
8月に入り、ヨーグルトはおろかトロトロ系は受け付けない。
水を飲んだ時にも咳き込み、オエッとしてる。
トイレに行く力もなく、その場で垂れ流す。
「頑張りすぎないでいいよ」
「カイちゃんは強い子だ」
何もできない自分が悔しい。
老衰って、こんなに何日も苦しがるものなの?
カイが風呂場に行きだしてから
何があるかわからないだろうと
夜もほぼ眠る時間を削り、
見守っていた。
寝てる間に…というのは避けたかったから。
数日この状態が続き、自分の体力もキツイ。
3日の夜、どうにも睡魔に襲われ、
夜11時ごろカイの横で眠りこけた。
「カイちゃん、今日は早く寝るね。ごめんね」
その30分後、
「ほにゃ~~~~」と尻尾を踏まれた時のような声を出したカイ。
その声で目覚め、寝ぼけて飛び起きたが
また横になった私。
でも「あれ?こういう声聞いたことない」
意識がハッキリし、カイの身体に手をあてたら
もう息をしてなかった。
ひとりで逝かせてしまった。
私は横にいたってのに、寝てるなんて。
あと30分起きててあげればよかった。
なんでだよ!
悔しい。
でも、カイらしい。
19歳。
かなり体力と生命力があったカイ。
一時期、弱ってたけど
若い猫アリが家の子になって、また元気復活した。
人間が怖くって、
小さい頃はいつも物陰に隠れていた。
晩年はかなりの甘えん坊さんになった。
家に来た時、一番末っ子だったカイ。
別名
「カツラ・末次・カイ」
最初病院に連れてった時、先生が男の子と言ったので
この名前になったが
実は後から女の子と判明。
だからって、もうカイと名付けたので改名せず。
代々の犬と猫たちが旅立ち、
いつの間にかカイが一番お姉さんに。
シャイすぎて、野性味強い子が
ここまで甘えん坊になってくれた時には嬉しかった。
10年以上かかったけどね。
カイが風呂場で自身と戦ってる時、
他の猫たちが心配そうによく風呂場に見に来た。
カイ、わかってたかな?
カイが死んで箱に入れたとき、
他の猫がおそるおそる、横たわってるカイをのぞきこんだ。
びくつきながら。
なんとなくだけど、他の猫も悟ったのだろう。
もうカイちゃんはこの体の中にいないんだって。
カイ、ありがとう。
うちの子のなってくれて、ありがとう。
長生きしたね!
代々の猫たちは病気がちだったから
カイがその分、長生きしてくれたんだよね。
カイ、頑張ったね。
ゆっくり休むんだよ。
明日、カイはお骨になります。