あやし うらめし あな かなし

浅田次郎著。

これはホラーではなく、怪談のような短編もの。
心霊的な怖さはない。
…が、一番最初の編、「赤い絆」の心中話が
数日間、頭の中でずっとループしてるんですけどなぜだろう?

猫いらずで男の方はさっさと死んでしまったのですが
女は適量?を飲めなかったかなんかで死ぬに死ねない。
宿泊先の人たちや医者等も死んだと「見越して」放っておいてる。

死にたい女。
周りは下手に毒を女に渡せば罪になるし
体の臓器が焼けるぐらいな強力毒なんで助けることもできない。
誰も何もできない。
死ぬのを待つしかない。

その女の気持ちを考えたら
死ねない苦しみがどれだけつらいのか。
知ってる人も周りにいない、愛する人は死んだ、
死んだことにされて放っておかれてる。
…地獄だよ。

その情景が勝手に頭に浮かび
苦しさが伝わってきそうで
モヤモヤモヤモヤ延々モヤモヤ。

こわいな怪談って。
ホントに昔あったような話なんだもん。