おらおらでひとりいぐも

おらおらでひとりいぐも

 

 

監督 沖田修一

キャスト

田中裕子…日高桃子

蒼井優…若き日の桃子さん

東出昌大…周造

 

 

桃子さん75歳。

実年齢より上の役を演じれる人は貴重な役者さん。

グレイヘアにしてからこういう役が増えたのか、

樹木希林の代わりとなれる女優になった田中裕子。

若いころの彼女は好きでなかったのに

年を積んでからどんどんと魅力が増して

しかも、うちのおかんに似てきて

最近では大好きな女優さんの一人になった。

 

この映画は人を選ぶかもしれない。

若い人はまだまだ遠い話。

淡々と何事もない日常を過ごし、

時折、桃子さんの妄想で出来たようなシーンもあり、

退屈かもしれない。

 

でも「老いる」ことは

9.5割の人が通る道だと思う。

近い将来、私も桃子さんのようになるのか…

とリンクさせて見ようとしても

まだまだ孤独と直に戦えない。

真正面から向き合える自信が今のところ、ない。

が、必ずやってくる老いと孤独。

 

桃子さんなりに前向きに生きてるつもりだが

「寂しさ1,2,3」は時たま現れる。

なぜ寂しさというネーミングにしたんだろう。

彼らは実に明るくてユーモアあふれてる。

官九郎の東北弁が一番しっくりだった。

 

この寂しさ1,2,3は決して痴呆の症状ではない。

3人もいるのは多いが、実体化できるのなら皆にもいそうでしょ。

「どうせ」という負のキャラも絶対いるでしょ。

ふふふ、私は「どうせ」キャラに時々思考を乗っ取られるw

 

途中の桃子さんの妄想で

ご飯食べてる時に「日高桃子歌謡ショー」になった。

裕子さんの歌声がそれはキレイだこと!

その前に司会の人が

「病院に行った桃子さん。医師からしばらく様子を見ましょう、と。

どれほど様子を見てる老人が一体、この世にどれだけいるのでしょう」

うんうん、普通に吹いたww

このへんのユーモアは監督、うまいっすね。

 

「おらだば、おめだ」。

このセリフがリズム刻んでてずっと頭に残る。

見終わった後、独り言のようにつぶやいてしまう。

ああ、中毒性のある言葉だ。

 

本音では

一人になる孤独と向き合いたくないので

私は彼様よりも先に逝きたい。

一人で老後や体のことを考えて生きてくのは嫌だ。

それか

周りにものすごく迷惑をかけるのかもしれないが、

完全にお花畑の世界に入り込みたい。

「寂しさ」たちのような彼らも存在するだろうし、

一人で生きてく覚悟も、死ぬ恐怖も味わわず、いなくなれるから。

 

タイトルのように

「自分は自分一人で生きていく」。

その覚悟が全然足りてない。

弱さを知らなかった昔の方が大胆な行動をとれた。

今はマイルドになりすぎた。

それも老いのひとつなのかな。

孤独に対して、拒絶と容認が相反する年代です。

 

 

 

 

 

 

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