岬の兄妹

 

岬の兄妹

 

 

監督 片山慎三

キャスト

松浦祐也…良夫

和田光沙…真理子

中村祐太郎…中村

 

 

あらすじ

足に障害をもつ兄、良夫。

自閉症の妹、真理子。

生活に困窮した2人は妹に売春をさせて、

どうにか生計を立てようとしていく。

 

 

もう、一言でいうと強烈な映画でした。

見てから数日経った今でも、ずっと頭に残る映画です。

まさかこれほど

心に引っかかる映画だとは知らずに見ました。

 

片山慎三監督の作品は

少し前に佐藤二朗主演の「さがす」を見て

ハードだったよな、という感想を持ちましたが

それを上回るヘビーハードな作品でした。

 

生活が苦しい。

明日と言わず、今日食べる食べ物すらない。

電気も止められる。

どうやって暮らしていこうか。

福祉に頼ろうとしないのか…と思いましたが

きっと良夫はその方法を知らないんでしょう。

頼れるのは友人であり、警察官の肇だけ。

 

この友人の肇はなぜ良夫に

福祉のことを教えないのかと疑問が残りました。

まあ、教えちゃって頼ったらこの映画が成り立ちませんが。

(じゃあなぜ警察官という設定なんだよとも思う)

 

妹に売春をさせるなんて、と

世間から言わせたら良夫はクズでバカなのかもしれません。

けれど助けてくれる人が誰もいない。

この兄妹に寄り添って話を聞いてくれる人が誰もいない。

(肇という友人はこの際、置いておこう。

私としてはコイツがどうにかしてくれれば話は早いと思うが)

そしたら、お金をもらえるなら

手段はこれしかないんだ、っていう安易な考えが良夫の頭に浮かんでも

おかしくはないと思いました。

需要と供給があるなら、じゃないけど

妹も嫌がっていないのなら…。

 

生きていくためにはお金が必要です。

彼らには死の選択など微塵もない。

お金をもらえるなら、なんでもする。

とんでもない誰かから別の情報をもらえたら

もしかすると

臓器を売っていたかもしれない身の上です。

それぐらいに生きていく術を知らない兄妹です。

 

決して共感はしないんですが、

彼らの生きていくサマを見ていて

嫌悪感と生きていく必死さが伝わってきました。

なんで監督、こんな映画作っちゃったのよ?

 

あと演者さん。

素晴らしくリアリティありすぎな体当たり演技でした。

彼らの演技魂に引っ張られて

眼をそむけたくなるようなシーンもありながら

最後まで見ることができました。

 

ホッと心が緩むシーンがひとつ。

兄が夢を見ました。

夢の中では足が動き、走ることも出来、

無邪気に遊具で遊んでる姿。

兄の楽しそうに笑ってる顔。

たとえ夢の中だったとしても、温かな気持ちに私もなれた。

 

ラストの岩上での妹が振り返るシーン。

鑑賞後、インタビューを見て笑えました。

 

いやいや、ホントにパンチをくらった強烈な映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

岬の兄妹