息子の部屋

淡々と話が進む物語ですが、
近い身内が亡くなったときの行動や後悔の念や、
家族の喪失感が伝わってくる作品です。

精神科医のジョバンニ。
彼の職業は患者の話を聞くこと。とても忍耐強くなきゃやれない仕事。
それと自身のメンタルな部分も健康じゃないと務まらない仕事。

もうやり直しはきかないとわかってはいても
息子が亡くなって「あの時こうしていたら…」の想いが止まらない。
わかりますとも。
受け入れるには時間がかかるし、前へなんか進めない。
でも日常をこなさなくてはならない。

それは妻も娘も同じ気持ち。
娘なんて、立ち直りが早いなと思ってたら試着室で大泣き。
親の前では弟の死の悲しみをガマンしてたんでしょね。

これはほぼジョバンニ目線で話を進めてるわけですが、
やっぱり仕事再開は早すぎたと思うよ。
自分が悲しみのふちにいるときに、人の悩みなんて聞いてらんねえ。

息子のGFが現れた時から少し空気が変わり始めてきます。
それは、GFが息子の部屋の写真を持ってきて見せてくれたとこから…。