佐々木、イン、マイマイン

佐々木、イン、マイマイン

 

 

監督 内山拓

キャスト

藤原季節…石井悠二

細川岳…佐々木

萩原みのり…ユキ

 

 

あらすじ

主人公ユウジは俳優になるために東京に上京したが

まだ売れない。

そんな時、高校の同級生で友人でもあった

佐々木の存在を思い出す。

 

 

この佐々木役をやった細川岳くん、いいねー。

タイトルに「佐々木」って名前を付けるぐらいだから

どんだけの存在なの?と思って。

でも最初に彼が出てきた時(4人で自転車こいでる時)

んー?という印象。

この子がタイトルの佐々木君?

髪がボンバってるけどそれだけって感じで。

確かにクラスでは全裸になったり、おちゃらけキャラだけど

華っていうのがないやん、と。

 

が、見ていくうちにじわりじわりきます。

なかなかこの気持ちを言語にするのが難しいんですが、

佐々木にとって一番濃く詰まった時間は

高校の時の何気ないいつもの日常だったんだな、ということ。

佐々木本人でないので何が正解かはわかりません。

 

演じてた細川君は

卒業してからの佐々木役に惚れました。

いるいる、って感じで。

いやー、この細川岳君。

もっと活躍してほしいわ。

 

そんな佐々木のような個性の強い明るいキャラ。

思い返せばクラスにいました。

不良の子がそうであったり、そうじゃない子もいたり。

男子ウケだけでなく、クラスの中心の人気者でした。

 

じかにサシで話す機会もあったりしまして。

やっぱ佐々木のような人でした。

ただの陽キャでなく、実はちゃんと空気を読んでたり、

自分に冷静だったり、先を見据えた人でした。

人にやさしく、決して自分中心のわがまま性格ではない。

 

学校を卒業し、皆、自分の道を歩いていく。

数年経ち、仲良かった子と集まったり、同窓会したり。

でも佐々木のような子は行方掴めないんです。

どうしてるんだろうねえ、と話しても誰もその人の連絡先を知らない。

ホントどうしてるんだか…。

 

当時私の親友だった子も行方がわかりません。

夢には出てくるのに、居場所がわからなくなって30年経つ…。

この映画を見て、色々と昔を思い出しちゃいました。

 

自分の人生に影響を与えてくれた佐々木のような友人。

もし、そういう人がいたのなら

この映画は見る価値あると思います。

きっと佐々木を見て、「あの時」がかぶって見えるかもしれません。

 

しかし日本映画!

全然会話がボソボソしてて聞き取れないんだわ!

音量でっかくしたら、突然音楽が鳴り響いてうるせーし!

いちいちリモコンで音量調節しなきゃいけなくって。

そのへん、どうにかしてくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

佐々木、イン、マイマイン

ケース39

ケース39 (字幕版)

 

 

監督 クリスチャン・アルバート

キャスト

レニー・ゼルウィガー…エミリー

ジョデル・フェルランド…リリー

イアン・マクシェーン…マイク刑事

 

 

あらすじ

児童保護局で働くエミリー。

ある家庭を訪問するが、夫妻の様子がおかしい。

ただ子供に虐待してる様子もないので

今のところ手も出せず、様子見状態となっていた。

ある日のこと、この家庭の娘リリーから電話を貰い、

命の危険があるような感じだったので

刑事と一緒に急いでリリーの家へ。

すると夫妻がリリーをオーブンの中に入れて

焼き殺そうとしている最中だった。

 

 

これは思ってたより、怖かったね。

子供、しかも女児が何だかおかしな子、というと

エスター」と比較されがちだが、

エスター役のイザベルは最初っから怪しい感じが漂ってましたが

こっちの子はそんな感じが見受けられなかった。

 

私も比較してしまったんだけど

エスターにはしっかりとしたオチがあるのに

こちらは邪悪な子の正体がハッキリ掴めない。

悪魔なのか、怪物なのか、能力持ってるのか、

主人公以外の人を殺す意図はなんなのかと。

その点があやふやになってたのが惜しいポイント。

 

前半はその不気味さもあって

オカルトチックなサスペンスでハラハラ見てましたが

後半はホラー展開になり

少女じゃない別の化身みたいな姿も現れ、なんだかなあ。

出来ることならずっと少女のままの姿で

怖さを表現してほしかったな。

だから評価できる部分は前半です。

(ハチのCGはあまりにもCGなんで、残念)

 

でも主人公が少女でなく

レニーゼルウィガーなので仕方ないか。

 

元々の夫妻は10年もの間、

この娘に逆らわないように支配されてきたらしいんですが

わかった時点で○してしまえば良かったのに。

10歳だと色々知恵もついてきてるのでね。

 

その少女役の子、

お目目クリクリパッチリで可憐な雰囲気。

なかなか裏の顔、正体を現さないでいましたが

後半のポップコーンを頬張ってるあたりから

ふてぶてしさが出てきたので「遅いなあ」の感想。

で、すぐにホラーになってしまうので…。

 

子供だからって、すぐに情にほだされてはいけない。

オトナの考え以上に残酷な思考を持ってる子が

世の中にはいます。

悪魔じゃなくて、マジホント実在する。

 

 

 

ケース39 (字幕版)

ラストレター

ラストレター

 

 

監督 岩井俊二

キャスト

松たか子…裕里

広瀬すず…鮎美/未咲

森七菜…颯香

 

 

何の気なしに見て、

このブログを書くときに監督を調べて

初めて岩井監督だったというのを知った。

と同時に、すずちゃんと七菜ちゃんが傘さして

ふたりで立ってるシーンが脳裏によみがえった。

ああ、そうだよね。

画的に岩井監督だあね、と。

 

昔々見た「Love Letter」。

思い出せないんですよ。見たのに。

スワロウテイル」はかすかに覚えてる。

岩井文学と呼ばれるような

彼が持ってる独特の柔らかさと清涼美がある映像。

「リリィシュシュ」もそうだね。

名作なんです、確かに。

でも私にはガツンと来ないのです。

なぜだ?相性の問題か?

でも彼の持ち味は認めてます。

 

この時代に敢えて手紙を題材に持ってくるのは

染みる演出です。

若い人にはどう映るんだろう。

手間暇かかるし、相手に届くまで時間も要するし、

面倒くさいツールに見えるのかな。

 

テレビ見てる(今はテレビもそんなに見ないのか)

CM中の間にササッと相手に送れたりするのに対し、

便箋、封筒、はたまた切手までも用意する。

相手のためにじっくりと文を考える時間。

手書きなんで、字なんか間違えたら書き直しになる。

この向き合うという労力。

ラブレターを送るとなったら、より感情がこもった字体になりそう。

うへへ、懐かしいですね。

 

何よりも何年経っても「残る」。

私も残してます。

28年前の彼様とやり取りした手紙の数々。

押し入れにしまってます。

たぶん彼様は超恥ずかしいだろうから、

どっちかが死んだときに読み直すことになるんだろうな。

手紙っていうツール。

重くていいっすね。

 

この映画の中に出てくる

阿藤というトヨエツが演じた男のセリフが

一番刺さりました。

グダグダと一人語りしてましたし、どす黒い役です。

でもガツンと来ました。

 

あとは鮎美が乙坂に「もうちょっと早く来てほしかった」と

伝えてるシーン。

これは見ている側は涙そそられます。

一緒に泣いてくれよ、と言わんばかりのシーンです。

ええ、泣きませんでしたが、かなり本気度伝わりました。

 

なぜ庵野さんなのか、

なぜ小室等なのか、

そこんとこわかりませんでしたが

岩井監督の構想を練った中では彼らが良きキャストとして

抜擢されたのでしょう。

 

若手女優もお見事な演技でした。

七菜ちゃんの自然に天然っぽく演じてたとこが可愛かった。

プラス福山雅治で大正解。

映画なもんで福山クラスの俳優を使って当然なんですが、

これが25年経ち、頭禿げ上がった恰幅いい中年の乙坂なら

お話になりませんもの。

 

すべては映画です。寓話です。

 

 

 

 

 

 

ラストレター

博士と彼女のセオリー

博士と彼女のセオリー (字幕版)

 

 

監督 ジェームズ・マーシュ

キャスト

エディ・レッドメインスティーヴン・ホーキング博士

フェリシティ・ジョーンズ…ジェーン

チャーリー・コックス…ジョナサン

 

 

あらすじ

科学者ホーキング博士の大学生の時から

難病を発症→ジェーンと結婚→宇宙論を発表→

バッキンガム宮殿に招待までを映画化している。

 

 

確実に偏見なのですが

私はエディの顔が好きではありません。

特に笑い顔がスケベ顔なんで出演作は敬遠してます。

その偏見が、この映画で取っ払われました。

なんて素晴らしい俳優なんだ。

役作りがとにかく素晴らしい。

博士の大学生時代を演じてるエディは

変わらずスケベ顔でしたが、

病気になった時からを演じてる彼は

まるで博士が乗り移ったかのように

緻密な動きを表現してました。

演技とは思えない演技でした。

 

 

ホーキング博士は2018年にお亡くなりになりましたが、

まだ博士が生前の頃に、映画の製作にも協力的であったことで

この映画が実現されたと聞いてます。

だから再婚された時までしか描かれておらず、

その後の博士の人生で×2になっちゃったことは描いてません。

 

私としてはホーキング博士の偉業を

もっと一般的にわかりやすく、

どえらいことを綴ってほしかったのだけど

これは元妻ジェーンの自伝からの映画なので

目線が違ってしまうのもしかたないな、と納得。

 

好きになった男性が

2年という余命宣告を受けて、それでも好きな気持ちは変わりなく。

だったら彼の最期の時まで一緒に歩んでいこうと

決意はするも

2年どころか、その後50年近くも共に暮らすとなると

心に変化が起きてもなんらおかしくはない。

むしろ、子供を3人抱えて博士のお世話もして

よほどの覚悟がないと無理っしょ。

 

他人事だから言えてしまうのかもしれないが、

ジョナサンに気持ちが傾いても責めることは

誰しもできないと思う。

博士自身はもちろんのこと、世話する妻側も

壮絶な人生だと思うから。

 

しかし…ホーキング博士

とてもエネルギッシュな方ですね。

お子さん3人もいたんだ。

彼のユーモアさと、学者として尽きない興味と野心、

そして下世話ですが性欲。

長生きする秘訣は希望を常に持ってるってことですね。

 

 

これ見て、エディがちょっとだけ好きになりました。

顔は受け付けないが、確かに演技はすごかった。

 

 

 

 

 

博士と彼女のセオリー (字幕版)

靴ひも

靴ひも(字幕版)

 

 

監督 ヤコブ・ゴールドヴァッサー

キャスト

ネボ・キムヒ…ガディ

ドヴ・グリックマン…ルーベン

エヴェリン・ハゴエル…イラナ

 

 

あらすじ

イスラエル映画

発達障害があるガディ。

一緒に住んでいた母親が交通事故死し、

30年前に家から去っていった父親と当面暮らすことに。

こだわりがあるガディは父にそれを主張し、

困惑させるが次第に打ち解けていく。

父に病気が見つかり、ガディはある提案をするが

父はそれを拒むことに。

ガディの成長と、父親の心の変化に

深々した愛情を感じ取れる作品です。

 

 

これはねー、いい話なんだわ。

見ている最中も「愛」を感じるけど

じわじわと何日もこの「愛」引きずることができる。

ガディの笑顔と、父ルーベンの気遣いが

なんとも心に響いて残る話だわー。

 

どっちかというと私は父ルーベンよりなので

最初のガディと一緒に住むっていうことになった時の

ガディのこだわりに「ええっ!?」ってなった。

そりゃ自分の息子だっていうことはわかっているし、

自分から逃げて離婚しちゃったという自負もある。

だからって、突然一緒に住めって言われて

今までのルーティンが一変するのは

ルーベンにとっては戸惑いしかないわ。

 

それでもなんやかやで

ルーベンはガディの世話をする。

朝食作ってあげたり、

いったん施設に行ったガディを心配し、連れ帰ったり。

ルーベン役の人が渋いいい演技をするんだわ。

ガディの面倒を見ながら、少しずつ親子の愛を育み始め、

表情がほぐれていく様子が上手い。

 

それ以上にガディ役の人。

いやー、最初は私もASDの演技に戸惑いましたが

ガディの明るさ、真摯さ、人を思いやる姿勢など

魅力がとても詰まった人間を演じてました。

笑い声がね、なんとも赤ちゃんがケタケタ笑うような声を出すので

自然とこっちも笑顔になっちゃんだよね。

繊細な箇所も勉強して演じてんだなーと思ったし。

 

父子のラストシーンは本来はとても悲しいんですが、

ガディにスポットを当てるのなら

こういう結末でいくしかないですよね。

いろんな事が起きて、いろんな感情を経験し、

「人生」を積んでゆくのだから。

 

発掘作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

靴ひも(字幕版)

哀愁しんでれら

哀愁しんでれら

 

 

監督 渡部亮平

キャスト

土屋太鳳…小春

田中圭…泉澤大悟

COCO…泉澤ひかり

 

 

あらすじ

児童相談所に勤める小春。

ある日、家族で団らん中小春の祖父が風呂場で卒倒。

車で病院に運んでる途中、交通事故に。

救急車を呼び祖父を移動中、家が火事になってると無線が。

住む家がないため、一旦今夜は彼氏の家に行くと

彼は小春の上司と浮気中。

次から次と不幸が重なり、どん底な気持ちのまま歩いてると

踏切真ん中で酔っ払って倒れこむ男性を発見。

助けた男がシンデレラストーリーの王子さまでした。

 

 

監督の切なる要望を3回も断ったという太鳳ちゃん。

本人がどうしても納得いかない箇所があったらしい。

4回目のオファーでやっと承諾してくれたそうだ。

 

田中圭が開業医役。

私は医者に知り合いがいないもんで

開業医という奴がどれほど金持ちなのかわからん。

でも、40ぐらいの男が大豪邸に住み、

だだっ広いリビング、海に面してて、プール付き。

小春と結婚し、小春の父の就職先を世話して、

祖父の入院費用を全額負担してもらい、

妹の家庭教師までやり、

自分の母には高級老人ホームに住まわす。

開業医で成功すると、こんな金持ちな暮らしができるんですか?

 

まずここからリアリティがないのよね。

だから小春はしんでれらになったとはいえ、

負い目がすんごいあるんだと思う。

自分の母親に対する暗い過去も含めて、

「絶対いい母親になるんだ」、

この幸せを手放してはならない、

と自分で自己暗示をかけちゃったんでしょう。

 

なもんで、サイコな子供に

しっかり向き合おうとしない。

小春手作りの弁当を知らない間にどこかに捨てて

「おいしかった」と言う。

小春手作りの筆箱をトイレに流して詰まらせてしまう。

どういう経緯でこの子供が

こんな歪んだ性格になったのかはわからんですが、

気づいた時点で修正させないでどーすんの!

子供に対抗しておにぎりに何を入れてんだい?

 

でもね、陰険度が中途半端な感じでした。

この夫と子供が少しずつ、どこかおかしい、

というのはわかるんだけど

180度真逆の裏の顔を持ってました、っていうのではなかった。

ラストはあまりにもお粗末でしたわ。

 

太鳳ちゃんは良くも悪くもやっぱり太鳳ちゃん…。

 

 

 

 

 

 

哀愁しんでれら

最愛の子

最愛の子

 

 

監督 ピーター・チャン

キャスト

ヴィッキー・チャオ…リー・ホンチン

ホアン・ボー…ティエン

ハオ・レイ…ルー

 

 

あらすじ

実話が元の中国映画。

息子、ポンポンが行方不明になった。

必死になって探すも、ポンポンは見つからず。

それから2年。

行方不明の子を探す被害者の会にも参加。

確かな目撃情報があり、農村部に探しに行く。

そこには大きくなったポンポンがいた!

急いで我が子を連れ去るティエンとルー。

村の人と追いかけるリー。

やはりポンポンは連れ去られていた。

リーの亡き夫が3年前にポンポンをさらってきたのだった。

 

 

これ、だいぶ脚色されてるのね。

映画ではポンポンがいなくなってから

見つかるまでは3年の月日が経ってる。

3歳だったポンポンだから、6歳で見つかる。

やっぱ小さいころの記憶が薄いもんで

加害者側の母の方に帰りたいと強く思ってる。

実際は14年後ぶりの再会。

実の親に合えた時は子は高校生になっている。

 

あともうひとつ。

映画の最後に本物の実話の人達の映像がある。

リーを手助けした弁護士も映ってる。

被害者の会のハンさんも本物さんがいる。

で、演じた役者さん達とも合流して

抱擁したりしている。

これじゃあ加害者側のリーホンチンさんを

悪く描けるわけがない。

実親と、さらってきたとはいえ育ての親と

役者や監督が出会ってれば

人の情的に加害者側に簡単には誹謗はできないだろう。

子供を思う情云々を取っ払えば

やっぱり加害者側はよくないことをしてるけどね。

いくらリーホンチンが知らなかったと主張はしても

法的に筋は通らないってわけで。

 

その前に

日本では考えられないことが

中国ではこの時代でもおこなわれてることが

そもそも驚きなのよ。

誘拐や人身売買や路上生活の子供。

都市部と農村部の落差。

そして一人っ子政策

すべてはこういう社会の闇みたいなもんが

招いたこと。

人口が多い国ではあるけれど

それにしても行方不明の子供が多すぎる。

売るとか買うとか。

 

ヴィッキーチャオが群を抜いてキレイな女優なんで

彼女の顔ばっかりに視線がいっていたが、

芦屋小雁似のホアンボーさんも熱演してた。

 

実話を元に、の親子の話でも

リーホンチン側の心境は

自分には程遠い出来事なんで

どうにもピンとこなかった。

だってさ、ある日突然に自分のダンナが

「子供を拾ってきたから」と言って

育てられるもんじゃないでしょ。

犬や猫じゃあるまいし。

事件にするでしょ、当然。

 

 

 

 

 

 

最愛の子